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神の産湯になった名水がいただける?!熊本県産山村の2大湧水&湧水グルメを味わおう。

水のおいしさで有名な熊本県。代表格は阿蘇エリアですが、その北東部に、この地の水を神が産湯にしたという伝説を持つ村があります。その名も「産山(うぶやま)村」。神を清めたと言われる名水は、今も森の奥からこんこんと湧き続け、その神秘的なシーンも相まって、人々を心身から潤わせ、癒してくれています。今回は熊本、いや九州でトップクラスと称えられている産山村の2大湧水スポットと、その湧水を活かした、現地限定グルメの数々をご紹介します。

【池山水源】清らかな軟水を求め九州中から大集結!夏季の夜はライトアップも

池山水源。大池を満たす湧水はやがて山鹿川となり、大分県の別府湾へと注ぐ
まずはコーヒー及び料理通の方々から大絶賛され、環境省による「日本の名水百選」にも選ばれている「池山水源」からご紹介。場所は産山村田尻地区に広がる森の中。小川沿いの遊歩道を進んでいくと、樹齢200年以上の巨木や樹木に囲まれた大きな池が登場します。
池の周りは恒温13.5度で猛暑の夏にはありがたい涼空間ですが、それだけでなく明らかに外界とは異なる雰囲気、空気感を醸し出しています。特に朝晩は木々の間から斜めに差し込む陽の光が、より厳かな世界を作り出し、また、風のない日は周囲の木々が水面にくっきり映し出され、芸術的なリフレクションシーンも楽しませてくれます。さらに6月下旬~7月上旬の夜は、幻想的なホタルの舞も。
水源を見守る水神様が池の奥に
この水神様の前あたりから水が湧き出ています。池の底にある砂がこぽこぽ踊っているような箇所が、池上水源のまさに水源。水神様のところまで歩いて行けますが、ぬかるんでいる所もあるので、足元には十分ご注意を。
トイレのある駐車場の下にあり。24時間給水可能
さて、清らかな空間を心身ともにリフレッシュしたら、さっそく湧水をいただきましょう。専用の水汲み場が駐車場の下にあります。
池山水源の水は硬度26㎎の軟水。和食のほか、お茶やコーヒー、さらに焼酎も「ここの水ではないともうダメ!」という方々が多いようで、撮影時にも北九州、宮崎ナンバーなど、遠方からの車が続々来ていました。大きな給水タンクを抱えてきたご婦人にお話を伺うと「ここの水は長持ちするのよ。だからいっぱい持って帰るの」とのこと。皆さんも来られる際はペットボトルやタンクなどの準備を抜かりなく。
池山水源のある森へと向かう橋周辺もライトアップ
また、2020年に好評だった夏のライトアップが、2021年も開催。期間は7/17(土)~8/22(日)、時間は19時30分~21時30分を予定しています。
優しい灯りに照らされ、周囲の森も幻想的なグリーンの世界に
ライトアップはされていますが、安全のため、懐中電灯などを準備していきましょう。
池山水源
住所:熊本県阿蘇郡産山村田尻14-1
電話:0967-25-2211(産山村観光協会/産山村役場企画振興課内) 
入場時間:自由 
駐車場:30台
池山水源

熊本県阿蘇郡産山村田尻14-1

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【がまだす堂】産山村いち、いや世界一新鮮な“池山水源コーヒー”が味わるカフェ

池山水源の入口に建てられた元レストランを改装し、2015年にオープン
続いては、おいしい池山水源の湧水を活かしたグルメスポットをご紹介。まずは池山水源の入口にある古民家カフェ「がまだす堂」。産山村、いや世界で一番、池山水源に近い=どこよりもフレッシュな、湧き出たばかりの池山水源の水で淹れたコーヒーが味わえる、わけですね。
館内の右手にテーブル席。カウンターの奥にはオーナー夫妻が集めたフランスのポスターや友人の古時計コレクションが並ぶ
館内ではオーナーの吉田さんが厳選したオーガニックコーヒー豆で入れるハンドドリップコーヒーが500円で味わえるほか、テイクアウトコーヒーも350円で用意。こちらはマシンドリップになりますが、厳選豆+名水から生まれる味わい、香り、コクはお値段以上!
ハンドドリップコーヒーにはミニ羊羹などのお茶うけもつく
店内ではオーナーが集めた多彩なコーヒーカップや湯呑から好きなものを選んで味わうことも。お店の裏を流れる軽やかなせせらぎをBGMにゆったりと、湧き立て挽き立て、淹れたての池山水源コーヒーを堪能してみてはいかがですか?

がまだす堂
住所:熊本県阿蘇郡産山村田尻14-4
電話:090-9661-0390 
営業時間:11時~16時
定休日:不定
駐車場:30台

がまだす堂

熊本県阿蘇郡産山村田尻14-4

https://ubuyama-kanko.com/restaurant/gamadasu-do/

【喜戸とうふ店】巨大なゆるキャラたちがお出迎え。親子で仕込む濃い味の湧水とうふ

お店の建物、さらに店頭の2つのゆるキャラ像もご主人のお手製
コーヒーと並びお豆腐も水が命。産山村内には池山水源の水で仕込む豆腐店が2つあり、水源に最も近いのが、「喜戸とうふ店」。ご主人が幼少のころ、祖母が作っていた湧水仕込みのとうふを2004年に復活。以来、妻と息子の3人4脚で、その味を守り続けています。
店頭の巨大な「くまモン」の横に並ぶのは、産山村のゆるキャラ「うぶちゃん」。しかもその頭は、とうふを入れるパックを再利用して作られています。そんなご主人の実直さと器用さ、さらにお茶目さとエコさは、以下の人気3商品からも伺えます。
上から時計回りに寄せ豆腐(小)120円、豆乳(500ml)120円、木綿豆腐(小)100円
どれも大豆本来の甘みを実感するものばかり!特に寄せとうふのトロトロさ、滑らか食感は実に秀逸。その豆腐の源である豆乳は生クリーム並みの濃厚さ。しかも1.5L(360円)サイズと共にペットボトルを再利用、さらに商品購入者には豆腐共にできる「おから」を無料サービスするなど、かなり前からSDGS化を実践。お客様にも地球にもやさしい!
また、表のゆるキャラ像の背後にはテーブル席も用意されているので、「出来立てをすぐ味わいたい!」という方は、ぜひそちらで。お醤油のサービスもあるそうですよ。

喜戸とうふ店
住所:熊本県阿蘇郡産山村大字田尻201-2
電話:0967-25-2416  
営業時間:8時~18時※冬場は~17時 
定休日:木曜
駐車場:10台

喜戸とうふ店

熊本県阿蘇郡産山村大字田尻201-2

https://ubuyama-kanko.com/play/kido-tohu/

【志賀食料品店】店内でイートインもOK。老舗が誇る窯炊き仕込みのとうふ&お揚げ

村内にあるもう1軒の手作りの湧水とうふを作っているのが「志賀食料品店」。創業100余年、お魚屋さんからスタートした村のコンビニ的存在です。食料品が並ぶ店内横にはとうふ工房が併設されており、毎早朝、池山水源の水と熊本県産を含む国産大豆を昔ながらの大釜で炊きながら、多彩なとうふ商品を製造販売。豆腐はもちろん、特に人気なのが揚げ物系。
右上から時計回りに厚揚げ、生揚げ、油揚げ。各120円
柔らかめに仕込んだ湧水とうふを分厚くカットし、表面のみをこんがり揚げた厚揚げは煮込み料理におすすめ。厚揚げ用よりもやや硬め仕上げ、厚みもやや薄めで三角形カットして揚げたのが生揚げ。この生揚げを2度揚げして、中までしっかり火を通した油揚げは、揚げたて炙りたてのサクッジュワ~な食感が大評判。これらの品々はテイクアウト販売のみかと思いきや、店内の一角でイートインもできるんです。
電子レンジで温めなおしたアツアツをお醤油、七味と共に用意
揚げ系はもちろん、お豆腐類もイートインOK。商品の購入、飲食された方は、濃厚豆乳のうまみをたっぷり含んだおからも無料サービスしています。遠慮せず、いただきましょう!

志賀食料品店
住所:熊本県阿蘇郡産山村田尻348-3 
電話:0967-25-2175 
営業時間:6時~18時 
定休日:1/1~3 
駐車場:なし

志賀食料品店

熊本県阿蘇郡産山村田尻348-3

https://ubuyama-kanko.com/play/%E5%BF%97%E8%B3%80%E9%A3%9F%E6%96%99%E5%93%81%E5%BA%97/

【山吹水源】心地よい森林浴散歩の先で待つ感動のリフレクションシーン!

カヤ、イロハモミジ、コナラなど樹齢100年を越す大木や山の草花に囲まれた遊歩道
さて、池山水源と並ぶ、産山村のもう1つの湧水スポットといえば産山村の北東部、大分県の久住高原にも近い「山吹水源」。池山水源は駐車場から歩いてすぐでしたが、こちらは水源まで少々歩いていただきます。その道中も山吹水源の醍醐味。
原生林の中、毎分30トンもの湧水が作り出すほぼ円形の大池
遊歩道の左下を流れる清流のリズミカルなせせらぎや鳥のさえずりを聞きながら、木漏れ日の中の遊歩道を歩くこと約400m。さらに坂を下って約150m進み、木の橋を渡って森の奥へ。駐車場から約10分の森林浴散策の後に出会えるのが、この景色!
これぞリフレクション絶景の極み! 池を囲む樹々の中には紅葉樹も多いので、秋は水面が茜色に染まるシーンも楽しめるでしょう。こちらも池山水源と同様に、水温は年間通して13.5度。よって大池の周囲は大変にクールです。さらに驚愕は水源の水の透明感!クリアすぎて、どこが水面か、底かわからないほど。
池の中央に祀られた水神様の付近から、水が湧き出るさまが覗ける
ちなみに池山水源は27万年前~9万年前、阿蘇山の大噴火によって生まれた阿蘇火砕流堆積物の亀裂部に貯留した地下水が源と言われています。一方、山吹水源は、大分県の九重火山群の飯田火砕流堆積物からのもの。出所が違えば水質、味も異なるはず。残念ながら水質データが入手できず、確かなことは言えませんが、まろやかな軟水の池山水源に比べ、山吹水源はやや硬めで、見た目同様のすっきりクリアな味わいを筆者は感じました。一般的に硬めの水は、パスタやアクや臭みなどを抜く肉料理に合うとのこと。山吹水源の水もそっち系に活かせるかもしれませんね。
給水場は遊歩道の手前、駐車場の下を流れる川沿いにあります。少し下り坂になっているので、車いすの方や台車などを利用する方は十分お気を付けください。
また、山吹水源から車で5分ほど南に行くと、こんな風景にも出会えます。
全国棚田百選・うまい米作り百選に選ばれている「扇棚田」
扇状に並ぶ16枚の棚田が作る大絶景!もちろん田んぼを満たす水もfrom山吹水源。山吹水源と合わせてぜひ、ご覧ください。

山吹水源 
住所:熊本県阿蘇郡産山村産山2636-6
電話:0967-25-2211(産山村観光協会/産山村役場企画振興課内
入場時間:自由 
駐車場:15台

山吹水源

熊本県阿蘇郡産山村産山

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【産山水魚園】清らかな山吹水源の湧水で育った絶品&ボリューミーなヤマメ三昧定食を

山吹水源から車で約10分。大きないけすに浮かぶように建つお食事処
清らかな山吹水源の恩恵は人だけでなく、お魚にも。そんな湧水育ちの健康優良魚が味わえるのが「産山水魚園」。山吹水源からの湧水を満たした養魚場で1万尾ものヤマメやマスを育て、この道50年。敷地内に設けたお食事処で、自慢のヤマメやマス、さらに産山村の山の幸、川の幸をご用意。
やまめ定食(山女魚、鱒、山菜)1500円
「自慢のヤマメをたっぷり、いろんな料理で味わってほしい!」とのことで、生まれたのがこの定食。その品数やボリューム、さらにヤマメのサイズに驚くなかれ! 20㎝越えの塩焼きは皮がパリパリ、身がホクックホク!から揚げは塩焼きよりやや小ぶりサイズですが、それをなんと2尾も!専用のツユにつけながら、アタマからしっぽまでバリバリ味わえます。その奥の赤だしはヤマメのアラも、そこからのうまみもたっぷり。さらに山吹水源の水で育て、炊きあげたご飯やお煮しめ、自家製のお漬物の数々、どれを食べてもただただ唸るばかり。しかもこのボリュームで1500円なんて!

定食に登場する料理は単品注文もOK。ヤマメ好きの方は、ぜひ、セゴシ300円も味わってみてはいかが?

産山水魚園
住所:熊本県阿蘇郡産山村産山2236
電話:0967-25-2069 
営業時間:10時~22時 予約 
定休日:不定 
駐車場:8台


ということで、熊本県北阿蘇エリアにある産山村の2大湧水スポットとその周囲で味わえる湧水グルメの数々をご紹介しました。ぜひ池山水源と山吹水源の飲み比べをして、その味の違いも体感してみてください。湧水のみならず、産山村には雲海スポットやあか牛グルメ、希少なブラウンスイス牛のミルクスイーツなど、産湯に浸かった神様が何度も里帰りしたくなる魅力がいっぱいです。産山村は阿蘇市や黒川温泉のある南小国町にも隣接しているので、そちらに行った際にもぜひ、お立ち寄りを。そして、ペットボトルなどの給水グッズを忘れずに持ってきてね~!
産山水魚園

熊本県阿蘇郡産山村産山2236

https://ubuyama-kanko.com/restaurant/suigyoen/

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