肥薩線のなかでも、人吉~吉松間は観光列車「いさぶろう・しんぺい」号が走っており(1日2往復)、鉄道の魅力がギュッとつまったような区間である。人吉~吉松の標高差は実に430・3mもある。この急勾配を登るため、国内では唯一、スイッチバックとループ線が併用されている(大畑駅)。線路がグルリと弧を描くループ線は、高低差の大きい区間を走る際に距離をかせいで勾配差を緩和するというもの。スイッチバックは、ジグザグに線路を敷いて前後進しながら坂道を登るのだ。
そのほか、100年前のたたずまいを今に残す嘉例川駅や、飫肥杉で造られた矢岳駅など駅舎も個性派ぞろい。真幸駅は、その名前の縁起の良さで人気がある。ホームには「幸せの鐘」があり、停車の間に鳴らしてみるのも一興。ハートがくり抜かれたかわいらしい入場券は人吉駅で購入可能。お土産として求めるのも良さそうだ。