九州は個性豊かな温泉の宝庫である。なかでも、「豊後富士」と呼ばれる美姿を誇る由布岳の山麓に広がる由布院温泉は、今や日本でも屈指の温泉リゾート地だ。この温泉や由布岳には面白い伝説が残っている。その昔、由布岳(1584m)と祖母岳(1757m)、鶴見岳(1375m)の三岳がくっつき合っていた頃、由布岳と祖母岳が同時に鶴見岳に恋してしまう。互いに譲らなかったが、夫婦となったのは鶴見岳と由布岳。夫婦の契りの証として、熱いお湯を噴出させたという。一方、恋に破れた祖母岳は自らの身を隠すため、こんもりと木を繁らせ、遠く宮崎との県境にまで退いたそうだ。各温泉宿の露天風呂は由布岳を望めるものも多い。山を眺めながら不思議な伝説に思いを馳せるのもいいだろう。
歴史や逸話なら鹿児島の温泉も負けてはいない。霧島温泉郷は、天孫降臨の伝説が残る高千穂峰の山麓に広がる温泉郷。神々しさを感じる山には大小10余りの温泉地が点在している。日本で初めて新婚旅行に行ったとされる坂本龍馬が、お龍と訪れたのも霧島の地である。新川渓谷温泉郷にある塩浸温泉で骨休めをし、魚釣りや山登りを楽しみながら10日も滞在したというから、やはり私たちも宿泊してのんびりと湯巡りを楽しみたいところだ。
博多~(ゆふいんの森)由布院
霰島温泉~(20分・バス)霧島温泉駅~(30分・JR)吉松~(75分・JR)人吉~(65分・JR)新八代~(60分・JR)博多~(6分・地下鉄)福岡空港