屋久島(鹿児島県)の永田浜(前浜・いなか浜・四ッ瀬浜)は絶滅が心配されているアカウミガメ(レッドデータブック「絶滅危惧Ⅱ類=絶滅の危険が増大している種」に指定されている)の北太平洋最大の産卵地であることから、世界的に重要な場所と認められた。
ラムサール条約湿地永田浜パンフレット(環境省屋久島自然保護官事務所発行)より
ウミガメは世界に7種います。その中の一種であるアカウミガメは温帯の海を好み、北太平洋では日本でのみ産卵します。しかも、その約50%が屋久島で行われ、北太平洋最大の産卵地となっています。
屋久島がアカウミガメの産卵地として適している理由は、すぐ北に黒潮が流れているからです。
砂浜で孵化した子ガメは黒潮に乗って旅をします。北太平洋を東に流されて、アメリカやメキシコの沖まで辿り着くカメもいます。メキシコのカリフォルニア半島の沖は餌が豊富で、若いウミガメがほかの地域に比べ相対的にたくさんいることがわかっています。そこで成長すると、再び日本に向かって泳ぎだし、しばらく日本沿岸で成長した後、産卵するようになります。
ウミガメの数は50年前の10分の1に減ったといわれています。なぜこんなに減ってしまったのでしょうか?原因として
①昔は卵を重要な食料として いた。
②魚網などに絡まっての水死
③産卵場所である砂浜の減少
などがいわれています。
しかし明るい兆しも見えてきました。屋久島では2000年以降、産卵回数が増えてきているのです。屋久島ではウミガメの保護に努めており、その効果が出てきているのかもしれません。ウミガメの数の変化も、自然の変化も、ゆっくりと起こります。ウミガメのために静寂で美しい砂浜と豊かで安全な海を守らなければなりません。
①子ガメに対するフラッシュ撮 影は、彼らが海へ帰る行動に 影響を与えるため(迷走等) 後遠慮ください。
②浜の上部には産卵巣が数多 くあり、脱出する子ガメたち を踏みつけてしまうことがあ るので、気をつけて歩かれるようご協力お願いします。