熊本で、ゆかりの文学作品や作家をあげるとなると多すぎて困る。本編でも「五足の靴」「山頭火」をとりあげたが、ポイントを明治の文豪に絞ってみよう。まずは漱石と小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は五高教師として熊本に赴任した。
漱石は4年(明治29年から)間滞在、八雲は明治24年から3年間いた。漱石は在熊中1,000余に近い句をつくり、「草枕」「二百十日」を著わした。八雲は「停車場にて」「夏の日の夢」を書いた。異色は森鴎外、小倉に軍医勤務中に「阿部一族」を書いた。
小説「阿部一族」の主人公の墓が、殿様・細川忠利を取り囲むように殉死した18人と共に並んでいる(北岡自然公園)。「草枕」の舞台になった小天温泉(那古井温泉)には、当時漱石が泊った記念館はじめ、風呂場も残されている。
人吉をとり入れた紀行文、詠んだ歌、句は多い。墨蹟やゆかりの品々が「鍋屋本館」ロビーに所狭しと展示されている。
人吉を代表する作詞・作曲家犬童球渓は「旅愁」「故郷の廃家」の作詞でつとに知られる。人吉城跡に彼の詩碑が建つ。
「放浪記」は戦前のベストセラー。
桜島は母の出身地。桜島の古里を出奔した両親と共に各地を放浪した林芙美子は「私は古里を持たない」と書いている。
その桜島・古里温泉に碑が建っている。碑文は「花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かりき」
長野県出身。後に鹿児島県立図書館長を務めた椋鳩十の原稿、書簡、筆跡遺品写真、取材手帳、新聞切抜をはじめ、児童文学関係資料などがある。
指宿温泉は指宿市の南東部の海岸寄りに約5kmにわたって湧出する全国で有名な温泉地。なかでも擂ケ浜(すりがはま)海岸の砂浜に湧く、天然砂むし温泉は有名。全身を温かい砂で包み込むので、汗が全身から吹き出し爽快な気分になれる。
●人吉温泉ではなんといっても「鮎」料理。アユのフルコースが楽しめる。猪鍋も人気。
加えて球磨焼酎。
「なんたって米が原料ですけんね」と人吉の人は胸を張る。クセがない冴えた味。
●指宿では、イモ焼酎を。コクがあるイモの風味を好む焼酎党は夜を徹して飲む‥‥が朝はすっきりしているのが焼酎の特色。
●枕崎市は鰹節生産全国1位かつおのタタキは、新鮮なカツオを3枚におろし、さらに背、腹を2つに切り、それに直火でさっと火を通し、厚めの刺身に切る。半月切りにした玉ねぎと千切りの青じそを刺身にのせ、それにショウガじょう油のタレをかけて食べる。ほかに、カツオの刺身やカツオラーメンなど「カツオのまち」ならでは美味しいメニューがいっぱいです。