文学には、虚構であれ、ノンフィクションであれ作品には背景がある。
伝承、物語り、祭り、自然風土、社会風土を縦糸に織りこんで中心のテーマが横糸となって物語が発展していく。人間模様が彩りを加えるー
九州を題材とした文学作品は多いが、このツアーの目的は旅する私たちが、作家の足跡や土地の風景や物語を留めるモニュメントが残っている地でないといけない。そして私たちが作品とその地で同化できる何かがあることが条件だ。
テーマ(作家、作品)選びとコースを組むのに一苦労した。
熊本では、ゲスト作家漱石、八雲が何を体感したか、歴史の僅かの襞の中から「阿部一族」を絣ぎ出した森鴎外の鋭さを感じてほしい。
球磨川の美しさを素直に実感をこめて描いた阿部知二の「山里」、行く先の人吉はまさに文学の豊饒な土壌性を証明する。「それからの武蔵」の小山勝清や犬童球渓の出身地でもある。田山花袋、斉藤茂吉、海音寺潮五郎、南條範夫等も人吉に遊び、素材を得た。
そして桜島は、梅崎春生が「赤い桜島」と讃え「すさまじい青さ」と表現した景が感動を以て今も迫る。
年輩者には懐かしい「海軍」獅子文六が戦争末期に岩田豊雄の実名で朝日新聞に連載した。
真珠湾突入がフィナーレだったと思うが、何故かリリシズムが漂う。
文学作品にも時代の風があることも判る。
これを機に古書店や図書館でお目当ての本を読み直してみる。
そして旅に出てみよう。
熊本空港~(約50分・バス)熊本市~(約40分・バス+11分・九州新幹線)人吉駅~(15分・徒歩)人吉温泉
人吉市~(20分・バス+13分・JR)吉松駅~(約90分・特急)鹿児島市~(約60分・JR)指宿温泉
指宿温泉~(約70分・JR)枕崎市~(約40分・タクシー)南九州市~(約120分・バス)鹿児島空港