薩摩の一向宗(真宗)禁制、弾圧は厳しかった。それは、明治になるまで300年も続いた。 それでも熱心な信徒は「かくれ」となって念仏を唱えた。岩窟に潜み、隠れ部屋をつくり、或いは県境を越えて隣県・宮崎県や熊本県の水俣市や人吉市に出かけ、禁を犯してまで、信心した。そのゆかりの地を行く。 ところで、鹿児島の市内を歩いてみてお寺が少ないことに気づく。 南洲墓地はあるが、寺はない。その地には鹿児島最古の浄光明寺があったというが。同じように島津家の菩提寺であった福昌寺も今はなく、歴代藩主の墓地があるだけ。 何故だろうか、島津久光は国学思想のもとに廃仏毀釈を断行し、明治初年に由緒あるお寺を断絶していったからだと教わった。 一時期、ザビエルが上陸し、キリスト教を説いたからだろうか、或いは、一向宗(真宗)禁制が厳しかったからか‥‥。 旅人は、その土地の歴史家にはとてもなり得ないが、鹿児島を旅して、そう感じた。 一方、お隣りの熊本県はやたらと寺が多い。特に熊本市、八代市は多い。熊本市は加藤清正が墓石を万一のときの防御に使えるから戦略上お寺を造ったという。八代市は細川三斎の宗教心からとも‥‥。 旅するとき、興味を、お寺の多い少ないまで行き届かせると旅のうんちくは深まっていく。 「隠れ念仏」の旅、見どころは小さな洞や、隠れ部屋等、僅かに残る証しかないが、意味するところは大きい。
鹿児島空港~(60分・バス)鹿児島中央駅~(75分・バス)南九州市~(48分・バス)枕崎市
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