記事 ARTICLE

ウイスキーファンなら知っておきたい! 鹿児島で味わうクラフトウイスキーの旅

ウイスキーの五大聖地といわれるスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、そして日本。最近のハイボールブームやクラフトウイスキーの台頭により、雑誌やテレビなどで特集が組まれるほど人気が高まっているのがジャパニーズウイスキーです。鹿児島県でも若きブレンダーや造り手の熱い思いとともに、世界的なアワードで受賞したシングルモルトウイスキーを生み出す新鋭蒸溜所が次々と誕生しています。今回はそんな 2 つの蒸溜所を紹介。

クラフトウイスキー界の新しい風は南から!吹上浜を望む抜群のロケーションで味わう一杯は格別「嘉之助蒸溜所」

ツルのマークのオーク樽を目印に出かけて。

鹿児島県薩摩半島の西岸に位置し、東シナ海に臨む9000平方メートルの広大な敷地に建つ「嘉之助(かのすけ)蒸溜所」。焼酎造りの名門「小正醸造」が新鋭のウイスキー蒸溜所として手がけ、2017年に産声をあげました。
コの字型のモダンな建物内には、蒸留設備をはじめ、吹上浜を望む抜群のロケーションが人気のバーやオリジナルグッズがそろうショップも併設しています。蒸溜所名の「嘉之助」は、同社二代目であり、今でも多くのファンに愛飲されている同社の看板商品でありオーク樽で長期熟成させた米焼酎「メローコヅル」の生みの親である小正嘉之助(こまさ かのすけ)の名前から命名されました。

3基の蒸留器(ポットスチル)を使用することで、香り豊かな味わい深いウイスキーに。
「メローコヅル」で培った60年以上にわたる樽熟成の技術と経験を活かしたウイスキー造りは、本場スコットランドからも品質を認められるほど。ネックの形や上部の角度の異なる3基の蒸留器(ポットスチル)を使用することで、香り豊かな味わい深いウイスキーが生まれます。
ステンレス製の発酵槽。発酵中のフルーティーな香りがた まらない。
ナンバリングが刻印されたオーク樽が並ぶ熟成庫。
「KANOSUKE NEW BORN 2019」(左)と「KANOSUKE NEW BORN 2020 PEATED」(右)

2020年には「ワールド・ウイスキー・アワード」において、「KANOSUKE NEW BORN(カノスケ ニューボーン)2019」が、ベストジャパニーズニューメイクを受賞しました。また、第3弾となる「KANOSUKE NEW BORN(カノスケ ニューボーン)2020 PEATED(ピーテッド)」は、イギリス産ピーテッド麦芽を使用し蒸留。同蒸溜所が所有する2基のうち、ボディのある酒質を生み出す再留釜で蒸留し、24ヶ月間貯蔵後、カスクストレングス(※)にてボトリングしました。骨太でありながら、繊細な甘みのある味わいが楽しめます。
※カスクトレングス…樽のままのアルコール度数で、加水されずに出荷されるウイスキー。原酒そのままの味わいが楽しめる、とウイスキー通に人気を呼んでいます。

絶好のロケショーンが目前に広がるバーで特別な一杯を。

「THE MELLOW BAR(ザ・メローバー)」では見学はもちろん、テイスティングも可能です(蒸溜所見学は、10時、13時、15時の3回、有料)。ウイスキーの新しい風を感じさせる蒸溜所で味わう一杯。きっと忘れられない旅の思い出になることでしょう。

小正醸造株式会社 嘉之助蒸溜所

鹿児島県日置市日吉町神之川845-3

https://kanosuke.com/

桜島を連想させる力強い味わいが魅力!本土最南端に位置するウイスキー蒸溜所「本坊酒造 津貫蒸溜所」

「マルス津貫蒸溜所」のシンボルタワーでもある旧蒸留塔。

豊かな山間を車で走り抜けると、目の前に現れてくるのが「津貫」の文字を配した高さ26メートルの巨大な塔。これが「マルス津貫蒸溜所」のシンボルタワーでもある旧蒸留塔です。明治5年の創業以来百有余年、焼酎造りの老舗「本坊酒造」が2016年にスタートさせた、温暖な気候と豊かな水源を活かしたウイスキー造りが評判を呼んでいます。

見上げるような高さの「スーパーアロスパス式連続蒸留機」(写真左)と原酒独特の芳香が漂う石蔵樽貯蔵庫(写真右)。

旧蒸留塔の内部には、蒸留機の遺構や本坊酒造の歴史をパネル展示。なかでも、当時の焼酎造りが偲ばれる「スーパーアロスパス式連続蒸留機」は一見の価値あり!
ほかに、ウイスキー製造設備を一望でき、製造工程を見学できるウイスキー蒸溜棟、原酒独特の芳香が漂う石蔵樽貯蔵庫(2021年1月23日現在、見学は休止中。再開時期はお問い合わせを)があります。

「津貫ザ・ファースト」(左)と「シングルモルト津貫ピーテッド」(右)
同社創業の地であるこの津貫のほか、長野県にもウイスキーの製造拠点を構え、平成25年には「マルスモルテージ3プラス25  28年」が、「ワールド・ウイスキー・アワード2013」で世界最高賞を受賞しました。また、マルス津貫蒸溜所より初めてとなるシングルモルトウイスキーとして、2020年に限定販売された「津貫ザ・ファースト」は、国内外のウイスキー市場で話題の一本になったほど。2021年1月には第2弾となる「シングルモルト津貫ピーテッド」も発売。スモーキーな香りと重厚な味わいが早くも人気を集めています。
「温暖な気候を活かした津貫のウイスキーは、バランスのとれた厚みのある味わいに仕上がります。熟成期間の長いウイスキーとともに自分自身も成長できたら。自分が手がけたウイスキーを老後に飲むのが夢です」と話すのは、2013年に入社したブレンダーの草野辰朗さん(32歳)。
蒸溜所に隣接する本坊家旧邸「寶常(ほうじょう)」。 和と洋が融合した造りと庭園の美しさにため息がこぼれそう(写真左)。四季折々の美しさを見せてくれる庭園では、 ゆったりと散策も楽しめます(写真右)。

また、蒸溜所に隣接する本坊家旧邸「寶常(ほうじょう)」は、木造建築の粋を集めた造りと、四季折々の表情を見せる庭園とのコラボレーションが訪れる人を魅了。マルスウイスキーを味わえるカフェバーとオリジナルウイスキーや津貫限定のグッズがそろうショップもあるので、庭園を眺めながら癒しのひとときを過ごしてみませんか。

クラシックなバーで好みのウイスキーをどうぞ。
本坊酒造 津貫蒸溜所

鹿児島県南さつま市加世田津貫6594

https://www.hombo.co.jp/factory/mars-tsunuki.html

地図を見る

Google Mapの読み込みが上限を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください。

関連するタグ

タグ一覧を見る

関連記事

週間記事ランキング

この記事を書いたフォトライター

PAGETOP