1406年に、明から帰国した僧・栄林周瑞禅師が、この山にそびえる奇岩を見て中国の蘇洲・霊巌寺に似ていたことから寺を建立。中国から持ち帰った茶の実を境内に栽培、製茶法を地元に伝えたのが今の「八女茶」の始まりといわれる。
清流と木立に囲まれた星野村は、全国でも指折りの高級玉露の産地。ここではお茶をテーマに、その歴史や種類、製造過程などが説明され、久留米藩ご用達だった星野焼の茶器、茶壷の展示、自分で石臼を引く体験コーナーもある。レストランでは、茶を使った料理、デザートが味わえ、星野独特の「しずく茶」も評判がいい。
日本で初めての「茶風呂」は、嬉野温泉の老舗宿「和楽園」で始まった。茶に含まれるカテキンやビタミンC、カフェインなどが肌の殺菌、美白に効果があると、常連の女性ファンも多い。同館では、お茶を使った茶会席も選べ、玉露酒や茶しゃぶ、茶の葉をまぶしたたたき、茶そばなどが味わえる。
「じげもん」とは長崎方言で「地元の物」。毎年5月の最終土・日に、世知原町の小塚岳公園で開かれるこの市には、収穫されたばかりの世知原の新茶のほかに、地元の農産物や加工品が数多く並び、近隣からたくさんの買い物客が訪れる。イノシシやシカ、キジなどが入った「じげもん鍋」の無料ふるまいも好評。
現在、一般的に普及している日本茶は臨済宗の栄西禅師が宋より長崎県平戸市へお茶の種を持ち帰りそれを植えたとされるのが始まりとされる。栄西禅師の播種が起源かどうかは記されていないが、平戸市に一番近い産地として、世知原では古くから茶樹が自生的に生えていた。本格的に茶の振興が始まったのは明治28年からで、その後茶園の造成がすすめられ、現在長崎県内では東彼杵につぎ約20%の生産量となる。世知原町は雨量が比較的多く、冷涼で、水資源に富み、高級茶の生産には大変適した環境。奥深い山地で育った茶葉は「味・香り」ともに深みのある高品質なお茶で数々の賞を受賞。
※蒸製玉緑茶の入れ方(1人分)
茶葉量:2g 湯量:70cc 湯温:70℃ 浸出時間:1分30秒
嬉野茶は玉緑茶が主流で、蒸し製と五百年もの間続いてきた伝統的な釜炒り製がある。味の好みや生産性から、現在はほとんど蒸し製茶である。嬉野茶はもともと濃いめで、旨味とこくのある味が特徴とされてきた。「釜炒り茶」は中国から伝来した製法によって作られる茶で、摘んだ茶葉を直接直火で炒る。手間がかかる分「蒸し製」よりも生産量は少ないが、独特の風味が楽しめる。味は、釜炒り特有の釜香があり、喉ごしがさっぱりしている。また、何度でも飲めるのが特徴。
※釜炒り茶の入れ方(3人分)
茶葉:6g 湯量:300cc 湯温:80℃ 浸出時間:2分
福岡県の茶業は1195年に栄西禅師が博多に聖福寺を建立して、その境内にも中国(宋)に学んだ際に持ち帰った茶種を植えたのに始まる。福岡県を代表する茶として「八女茶」は、チャの伝来地にちなんで鹿子尾(かこお)茶と呼ばれ鹿子尾村(黒木町笠原)にある霊巖寺が八女茶発祥地と伝承されている。「八女茶」は、全国有数の高級茶の産地として知られる八女地域(県南部を東西に流れ、有明海にそそぐ矢部川と、その支流である星野川などの流域で生産されている)で、伝統ある優れた技術により生産され、豊かな香りと濃厚な味わい、そしてまろやかな旨味が特徴。
福岡県は「玉露」の品質が日本一。2005年に行われた全国茶品評会「玉露の部」で一等一席農林水産大臣賞を受賞。「伝統本玉露」星野村では玉露の味と品質を最高級のものに保つため茶葉を摘むおよそ20日前に「わら」で覆いを行う伝統的な生産方法で行われいる。
独特な玉露の飲み方として八女郡星野村には「しずく茶」がある。
※玉露の入れ方(3人分)
茶葉:9g 湯量:90cc 湯温:50℃ 浸出時間:2~3分
※八女 煎茶の入れ方(3人分)
茶葉:6g 湯量:210cc 湯温:75℃ 浸出時間:30秒
大分県では自生の茶(ヤマ茶)を家や畑の周辺に植え、平釜で炒って家庭で飲むという習慣が約30~40年前、昭和40年代までは農村のあちこちで見られた。現在でも、かま茶としてその製法は引き継がれ、県の南部地方にまとまった産地が残っている。佐伯市本匠(旧本匠村)は、九州屈指の清流「番匠川」の上流沿い(因尾(いんび)地区)に点在する茶園からとれた茶「因尾茶」で有名。かま茶は普通煎茶にくらべ、水色が黄金色、味はあっさりして香ばしい香り(釜香)が特徴のお茶。