7つの県で九州は成り立つが、九州から外の人間にとっては、「九州」を一つのイメージで捉える人が多いのではなかろうか。よくいわれる「九州男児」がいい例である。もちろん九州でも、一つの集合体と考えることが多く、「九州のへそ」や「九州発祥の地」などというエリアが登場する。九州を旅するなら興味深いスポットである。
まずは、「九州のへそ」。これは、熊本県山都町(旧蘇陽町)を指す。熊本県の東部に位置し、宮崎県五ヶ瀬町、椎葉村と接し、阿蘇南外輪山から九州山地の脊梁までを圏域とする山都町。標高は300m~900mと地形的な変化に富み、多種多様な自然と多くの遺産や歴史が残る。そしてこの山都町の馬見原に「九州のへそ基石」が立つ。町の西に降る雨は緑川を流れ有明海から東シナ海に注ぎ、東に降る雨は五ヶ瀬川を流れ太平洋に注ぐ。つまりこの地が九州の分水嶺となり、九州のほぼ中央に位置するので、この地を「九州のへそ」としたようである。その場に立つと、九州のへそにいるのかと、こちらもなんとなくこそばゆい。
さて次は「九州発祥の地」を訪れよう。こちらは、九州中央山地の中央に位置する「祇園山」だ。場所は山都町のお隣、五ヶ瀬町鞍岡。標高1307mのこの山がなぜ「九州発祥の地」と言われるのか。それは、ウミユリ・三葉虫・カイメン・フズリナ・クサリサンゴ・ハチノスサンゴなど、日本列島誕生の謎を解き明かす貴重な化石が発見しているからである。これらの生物は海の生物で、その生息時期が今から4億3千万年前の古生代シルル紀の生き物であることが学術調査で判っている。祇園山の化石や地質について長年研究を続ける濱田隆士理学博士によると、「太平洋の底を切り取って、重ね合わせて出来上がったのが日本列島。その一番奥の深い部分がちょっとだけ顔をのぞかせたのが祇園山」だそうだ。なんとも気の遠くなる壮大な話しだが、祇園山が九州でもっとも古い地層であると考えると、一歩一歩踏みしめながら登るトレッキングも感慨深い。さらに「発祥の地」の頂上から眺める九州の大自然の景色は格別である。
熊本~(50分・バス)阿蘇くまもと空港~(150分・バス)山都町~(50分・バス)五ヶ瀬
五ヶ瀬~(60分・タクシー)椎葉~(70分・タクシー)高千穂町
高千穂~(30分バス)馬見原~(45分・バス)高森~(約60分・バス)立野~ (20分・JR)大津~(15分・タクシー)阿蘇くまもと空港又は(15分・JR+50分・バス)熊本駅