佐賀県南部に位置する多良岳の裾野に、九州最大級のわさび田があります。多良岳の清らかな水の恩恵を受け、すくすくと健やかに育った本わさび。その様子を「この目でみたい!」と思い、太良町にある「わさび苑 多良岳」に行ってみました。
「わさび苑 多良岳」では、約1.5haの敷地内に4万株以上のわさびが1年を通じて栽培されています。わさびが出荷できるまでには1年半以上かかるのだとか。長い時間をかけ、たくさんの愛情を受けながら育ったわさびたちは九州を中心としたお鮨屋さんやレストラン、デパートやスーパーなどに出荷されています。海外から注文を受けることもあるそう。ここでは実際にわさびが栽培されている様子を見学することができるほか、直売所にて生わさびや、わさびの加工品を購入することができます。
出荷用のわさび田を見せてもらいました。
敷地内いっぱいに青々とわさびの葉が茂っています。ところでなぜ、太良町にこんなに広大なわさび田があるのでしょう?
答えは多良岳の豊かな水の恵みにありました。わさびの栽培にはきれいな水が欠かせません。年間を通して一定の「水温」「水量」「水質」であることが栽培の条件とされています。ここでは多良岳の豊富な地下水を利用し、一定の水温(16℃)と水質を保って栽培することが可能なのです。
ポンプで汲み上げられた地下水は、パイプ管をつたってわさび一株一株へと注がれます。温泉で例えたら、「源泉掛け流し」状態なのです。
1月末から3月上旬にかけては、わさびの花を見ることができます。わさびの花も食べるとおいしく、この花をわざわざ買いに来る人もいるのだとか。
美しく整えられたわさびを袋に入れて封をしたら完成です。直売所や道の駅、九州を中心とする全国の小売店の店頭に並びます。
同じ建物内では、わさびの花の出荷作業も行われていました。わさびの花はさっと湯がいて、おひたしや醤油漬けなどにするとおいしいそうです。1キロ2500円で販売されています(100g単位での販売可能、花が咲く1月末から3月上旬限定)。収穫状況によっては販売できない場合もあるので、購入を希望する際には電話で事前の問い合わせを。わさびの茎も1キロ1000円で販売(100g単位での販売可能)。
一般の人でも気軽に見学できる、観光農園の施設を見てみました。通路に板を渡し、靴が濡れないよう配慮されています。植えたばかりの若い苗から大きく葉を茂らせた出荷サイズのものまで、段階を追って成長過程が見られる楽しさがあります。多良岳の水の清らかさと豊富な水量にも感嘆!
わさびはデリケートで傷がつきやすい植物なので、不用意に触らないよう注意しましょう。
わさび苑に併設されている直売所をご紹介!わさび苑で育った生わさびのほか、わさびを使った加工品が販売されています。生わさびならではの爽やかな辛味と香り高さは、「一見」ならぬ「一食」の価値あり!
「わさび苑」ならではの加工品も楽しみ。わさびドレッシングはツーンとした辛味が料理のおいしさを引き立てます。野菜サラダのほか、カルパッチョやローストビーフ、ハンバーグなどにも合います。わさびの粕漬けは地元産の酒粕を使用。おつまみにするとお酒が進み、ご飯に乗せると白米をかきこむ手が止まりません。
こちらもご注目!なんとわさびのアイスです。ほんのり爽やか、「マイルド味」と大人の辛さを追求した「ハード味」の2種。違いは入っているわさびの量なのだとか。さぁ、あなたはどっちにする?
購入後の本わさび、その日の内に使い切らなかったものは水に濡らしたキッチンペーパーに包み、上からラップしておきましょう。この状態で冷蔵庫の野菜室に入れておくと1ヶ月程度保つそうです。
優しい辛味と甘み、爽やかな香りを持つ本わさび。お刺身やお蕎麦の薬味として多用されているイメージですが、せっかくなので本わさびが主役になる料理をわさび苑のスタッフに教えてもらいました。その名も「わさび丼」です。材料はご飯のほかに鰹節、すりおろした本わさび、醤油のみ。ご飯の上にこれらを好みの分量で乗せていきましょう。本わさび本来の味がダイレクトに伝わり、クセになるおいしさです。本わさびは擦ってから30分以上経つと辛味が抜けてしまうので、食べる直前にするのがおすすめ。
本わさびの辛味が足りないようであれば、すりおろした後にさらに包丁で叩くと良いそうです。試してみてくださいね。
「本わさびを食べてみたいけれど、時間が取れそうな土・日はわさび苑の定休日だわ」という人も心配ご無用。「わさび苑 多良岳」から車で8分、国道207号線上にある「道の駅太良 たらふく館」なら本わさびやわさびドレッシングなどの加工品が購入できます。
こちらでは、地元で生産された新鮮な海産物、農作物などを販売しています。登録している生産者は300人以上。数ある商品の中でもとりわけ柑橘類の品揃えには定評あり!旬に応じた柑橘類が店頭に並び、1年間約80品種の柑橘類に出会えるというから驚きです。そのほか地元の牡蠣や竹崎ガニなど、太良町ならではの魅力的な味が満載。
「道の駅太良 たらふく館」でしか食べられない、太良みかんソフトクリームもありますよ。太良町産のみかんを使い、みかんのジューシーさと酸味をストレートに表現。甘さ控えめで、スイーツが苦手な人でもおいしく食べられそう。
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