平戸の聖地と集落(中江ノ島)

世界文化遺産
平戸島から見る中江ノ島
生月島から見る中江ノ島
平戸島から見る中江ノ島 生月島から見る中江ノ島

潜伏キリシタンにとって殉教地として信仰し、お水取りが行われていた聖なる島。
 中江ノ島は平戸島と生月島(いきつきじま)の北岸の沖合に浮かぶ長さ約400m、幅約50mの小さな無人島である。
禁教時代には平戸藩によって棄教しないキリシタンを処刑した島としての記録も残っており、潜伏キリシタンにとっては殉教地として「サンジュワン様」などと呼び、聖地として日頃から信仰していた。
平戸島西海岸の春日集落や生月島の潜伏キリシタンにとって、岩からしみ出す水を聖水として採取する「お水取り」が行われる聖地でもあった。
地元の人は「サンジュワン様」「御三体様」「おむかえ様」とも呼んでいる。

朝の陽射しを浴びた島は神々しく輝き、夕陽に赤く染まる島は哀愁がある。
 平戸市内から生月島への県道19号、42号から遠望できる。生月大橋手前の漁港からは水平線上に見え、晴れた日の午前中は島の樹木の緑も映えてとても美しい。夕刻の景観は海も島影も茜色に変わり、なんともいえない情感があふれている。

かつて捕鯨基地として名をはせた生月島。今も信仰が息づく島として伝承されている。
 生月町博物館「島の館」には中江の島の殉教の背景や潜伏キリシタンの資料が数多く展示されており、宣教師や神父不在の中で育まれたキリシタン信仰が形を変えて、表向きは神仏を祀りながらも、組織的に続いていった歴史や独特の宗教儀式、伝承などをより深く知ることができる。
生月島には小さな教会が点在し、それらを訪ねる旅も忘れられない出会いがある。

住所 長崎県平戸市下中野町
その他 中江ノ島は平戸島と生月島の沖合にあるため上陸は出来ない
県道19号、42号、生月島大橋手前の漁師食堂母々の手、生月島からの遠望