およそ800年前、壇ノ浦の合戦に敗れた平家の武士たち。追っ手を逃れて各地の深い山奥へ。椎葉も格好の隠れ里に。しかし、源氏の総大将頼朝に知れ、那須大八郎が追討に。ひっそりと農耕をやりながら暮らす平家一門の姿を見て、哀れに思い追討を断念。逆に屋敷を構え、この地にとどまった。農耕の法を教えるなど彼らを助け、協力し合いながら暮らしたという。やがて鶴富姫と出会い「ひえつき節」にもうたわれる〈恋物語〉が…。しかし結局、姫と大八郎は離れ離れに。この悲恋の二人を偲んで、毎年11月には「椎葉平家まつり」が盛大に行なわれている。
通潤橋で知られる矢部町は合併で山都町。一門を慕ってここまで来た平家の女官たちは、山の向うに咲き乱れる白いコブシの花を源氏の白旗と思い込み、立ちすくんだまま石となった伝説の地。人の形をした石灰岩の露出が群れている。
●近くに直入温泉、長湯温泉、久住温泉などがある。竹田市にも一軒温泉施設がある。なによりも夜の岡城跡は良い。特に月明の城を「荒城の月」を口ずさみながら歩くと、ぐっとロマンチック。九重連峰が黒々と遠くに横たわる。
●椎葉では宿の人と語りあかそう。猪狩りのコツ、獲物を一番先に犬に食べさるなどまさに「狩りのことば」が直接聞ける。
いろり端だったら、一層よい。
●山間部の竹田地方では川魚の他に「頭料理」が発達した。海岸から遠い地は魚を大切にした。独特の料理、大ぶりの魚の頭の部分と内臓を主原料に巧みに調理。それに名物のカボスをかける。「田楽」も名物。
●水がいいから豆腐の味が旨い。味噌タレに木の芽が加わり風味がよい。
いろりに掛けた猪鍋を皆でつつくと奥深い椎葉の実感が高まる。ヤマメ、山菜などの豊富な食材は、この地方独特の味。