「街道もの」が盛んで人気がある。司馬遼太郎の影響があるかもしれないが、九州の主要街道を辿りながら、歴史の物語を紡いでゆくアナログの物語は聞くだけでも楽しい。読んで興味をそそり、行ってみたくなる。実際に行ってみると、文学作品に増幅されたイメージとは少しトーンダウンするのが実状だ。
熊本から日向を目指す日向往還は違う。期待を裏切らない。官の道、参勤交代の行列が通った道とは違う。あくまでも民の生業(なりわい)の道。営みの道だ。今の、現代の開発に汚染されていない道が熊本—山都町(旧矢部町・清和村)〜馬見原〜高千穂〜日向を結んでいる。
由緒、物語を残す史蹟が、まるごと残っている。石橋、浜の館跡、神社、自然、阿蘇家の若殿様の隠れ岩屋などなど、現地の雰囲気そのままに包み込んでいる。熊本から矢部までは石橋街道と言われてもいる。沿線沿いに著名な石橋が残る。民の汗の手掘りのトンネル、石橋の物語り、阿蘇神社、平家落人伝説も残る。
道中一泊の高千穂神社での夜神楽も彩りを添える。貴重品の道筋をゆっくり辿ろう。
このゾーンが、九州のエッセンスを残してきた理由の一つは、未だ開けてなかったから。それほどの奥地だったから。人情が細やかで篤いのもうなづける。
本当は全行程歩くとよいのだが、ハイライト部分を歩くだけでも旅情が判る。
ポイントポイントの景もよい。
阿蘇くまもと空港~(30分・タクシー)御船町~(50分・バス)山都町
山都町~(30分・バス)高千穂
高千穂~(80分・バス)延岡市~(20分・JR)日向市~(約80分・JR)宮崎空港