長崎街道の旅Ⅰで述べたように、海外の文明の品々が長崎に集まった。その中の一つに砂糖があった。
長崎の人は、日本で初めて砂糖の甘味にふれた。日本の食文化に甘味が加わったことは、まさに食文化の革命であった。やがて砂糖を生かした文化が長崎を起点とした街道沿いに広がっていく。
最近、この長崎街道をハイカラな名前の「シュガーロード」(砂糖の道)と呼ぶ。長崎街道を共通資源とする長崎、佐賀、福岡の三県と沿線市町村、民間団体が県境を越えて地域づくりに取り組んできた結果、成果の一つとして「シュガーロード」の言葉が生まれた。佐賀新聞論説委員の故・河村健太郎氏が「佐賀文化」に砂糖街道(シュガーロード)論を「シュガーロード長崎街道を行く」として、村岡安廣村岡総本舗社長に発表を依頼したのが最初である。当初は、歴史・文化史蹟などの掘り起こしであったその活動が、さらに極まり、街道の奥に流れる共通の風土・食文化の底に流れている”砂糖文化“の究明にまで辿りついたのだ。
当時貴重な砂糖は長崎に陸揚げされ、南蛮菓子として代表的な「カステラ」が生まれた。思いつくまま列挙すると佐賀では「丸ボーロ」「小城羊羹」、飯塚では「ひよ子」「千鳥饅頭」直方では「成金饅頭」、小倉では「つるのこ」などなどが、街道沿いの歴史ある銘菓として誕生した。福岡の「鶏卵素麺」の素形もポルトガルだ。
長崎をふり出しにして、シュガーロードの由縁と歴史を肌に感じ、各地の伝来、新作の銘菓の味を口に楽しんでいこう。
たかがお菓子というなかれ。庶民の創意工夫から生まれ、歴史の中で愛し続けられているお菓子だからこそ、その奥の「味わい」は深い。
長崎駅〔長崎市〕~(31分・JR)諫早市~(約70分・JR)鹿島~(12分・バス)塩田町~(約30分・バス)武雄温泉
武雄温泉~(約25分・JR)久保田~(5分・JR)小城市~(約15分・JR)佐賀市~(約30分・JR)二日市温泉
二日市温泉~(約10分・特急+40分・JR)飯塚市~(16分・JR)直方~(14分・徒歩)筑豊直方~(5分・筑豊電鉄)木屋瀬~(約30分・筑豊電鉄)黒崎~(8分・特急)小倉駅