典型的な日本の小都市、高千穂の中心バスセンターの隣の観光案内センターが出発点である。案内センターの中ではWi-Fiがつながり、地域の特産物や簡単なつまみものもある。すぐに現れる高千穂神社は入り口から深く垂れ込めた巨大な木々の影のせいで尋常ではないように感じられる。緑豊かな木の間に末永く続く階段に沿って行けば至る高千穂峡谷。嘆なげいてためいきをつくように感嘆の声が出てくる峡谷は巨大な柱状節理を誰かこっそり隙間を開けておいたような姿だ。六角形の岩が縦並ぶ峡谷の下には緑色の澄んだ水が狭く流れ、ばらばらに砕けあふれ出す滝がますます近づいてくる。峡谷の下ではボートを借り、真名井の滝を間近く楽しむこともできる。峡谷や滝下まで近づいて東洋画の絵の中の主人公のように、しばらく寄り遊んでも良いだろう。道はもう山道に入って巨大な山脈のシルエットを遠く眺めながら、深い森につながる。森の一角に隠れている向山神社まで静かな瞑想と供に行ってきたら、もう町中が緑茶畑だ。緑茶畑家の前庭を歩むなか、八十超えの人情豊かそうな顔のおばあさんに会うと、運よく深い味わいを出す 丸小野緑茶一杯を味わうこともできるだろう。標高差100〜200mの谷道を下り登り背筋に汗が流れる頃、再び都市の景色があらわれ、出発点からさほど遠くない終点に辿り着く。終点のかまだせ市場では、地元の食材で作った郷土料理を食べることができるし、高千穂の各種特産物が販売されている。