2024年03月29日

九州のお肉のなんでもイチバン

 九州は牛・豚・鶏の農業産出額で国内をリードする存在。肉用牛の農業産出額は国内の4割を占め、圧倒的イチバンだし、ブロイラーに至っては何と5割が九州産だ。もちろん豚も九州がイチバン。馬肉だってイチバン。日本初のブランド豚は鹿児島の鹿籠(かご)豚など、とにかくイチバン、初物が多い九州のお肉。まだまだあるぞ。

鶏飯の駅弁、日本第一号は JR鳥栖駅の「かしわめし」

画像提供:中央軒

 JR鳥栖駅で売られている中央軒の「かしわめし」弁当は日本初のかしわめし弁当だ。1913年、同社の前身である光和軒が創業し、創業者の神武(こうたけ)紀之絵(きのえ)が「かしわめし」弁当を考案して販売したのが始まり。以来110年余りの歴史を持つ。実は鳥栖地方では祝いの席や来客のもてなしに、鶏を〆て料理やご飯を炊く習慣があった。かしわと鶏ガラを長時間煮込んでスープをとり、醤油、味醂などで味をつけた出汁が味の決め手だ。

規模日本一、飼育数日本一の養豚場 焼酎粕添加飼料でお肉は柔らかく

広大な敷地を持つジャパンファームの大口農場(写真提供:ジャパンファーム)

 鹿児島県伊佐市にあるジャパンファームの大口農場は日本一広大な養豚場。その広さは何と東京ドーム25個分にもなる。飼育数は母豚1万頭、肥育豚9万頭で、会社全体で年間20万頭も出荷し、一農場あたりの飼育数日本一を誇る。鹿児島らしく、焼酎粕を飼料に加えることで、旨みが強く、しゃぶしゃぶ等に適したやわらかい肉質になるという。この飼料でエコフィードを活用した畜産物生産の優良事例として最優秀賞を受賞している。

豚しゃぶしゃぶ肉のイメージ

日本一の肉のまち都城市  肉グルメをとことん楽しみたい

「ミートツーリズム」加盟店「鶏だしおでん時々肴 雷田」のメニュー例。左上の鉄板鍋が都城おでんだ。(画像提供:都城市ミートツーリズム推進委員会)

 都城市は肉用牛・豚・鶏の合計産出額は市町村別で4年連続日本一を誇り、「日本一の肉のまち」を掲げている。肉にまつわるイベントやキャンペーンも活発で、焼酎生産のふるさとでもあることから、旅行業者向けに肉と焼酎に出会うツーリズム商品「ミートツーリズム」を展開。また、そんな都城の「都城おでん」は出汁を鶏ガラで取り、おでんの具もとろとろに煮込んだ豚軟骨が入るなど、肉のまちならではのスタイルだ。

鶏肉料理店数日本一は福岡県 福岡県民はやっぱり鶏が好き

焼き鳥屋のイメージ(写真提供:福岡市)

 九州経済調査協会が2022年2月に実施した調査によると、福岡市は人口10万人あたりの焼き鳥店の数が32・3軒と、国内主要の21大都市で最多。久留米市も焼き鳥の町として知られ、「ダルム(小腸)」、「ハルツ(心臓)」、「せんぽこ(動脈)」、「タング(舌)」など、焼き鳥の部位をドイツ語で呼ぶのは、九州医学専門学校(現・久留米大学)の医学生がドイツ語で注文したのが由来とされる。県全体で見ても人口10万人あたりの焼き鳥店の数は、全国平均が約15軒に対し、福岡県は約27軒と日本一を誇っている。

おおいた冠地どりは 国内初の烏骨鶏との交配種

画像提供:大分県農林水産部おおいたブランド推進課

「おおいた冠地どり」は、大分県畜産試験場が4年の歳月をかけて誕生させた地鶏。日本国内初となる烏骨鶏を交配しており、毛冠のとさか、あご髭など、烏骨鶏の特長を受け継いでいる。烏骨鶏を含め、雄雌合わせて5品種を交配し、旨味、大きさ、産卵性など、それぞれの品種の長所が集約され、旨味成分のイノシン酸含有量が高く、肉質もほどよく柔らかい。また、国内の地鶏のなかでは、価格的にかなりリーズナブルで、旨い・安い・柔らかいの三拍子が揃っている。

高校牛児が競う和牛甲子園も やっぱり鹿児島県がイチバン

2024年1月の第7回では総合評価部門と枝肉評価部門で最優秀賞を果たした鹿児島県の鹿屋農業高校(写真提供:和牛甲子園事務局)

 JA全農は2018年から「全国農業高等学校 和牛枝肉共励会」、通称「和牛甲子園」を開催。和牛を飼育する農業高校生「高校牛児」が、日ごろの飼育の取り組みや育てた牛の肉質を競う。「枝肉評価部門」「取組評価部門」「総合評価部門」の3部門で、鹿児島県の農業系高校は毎年いずれかの部門で最優秀賞を受賞。2024年1月18・19日に開催された第7回では総合評価部門と枝肉評価部門で最優秀賞を鹿児島県の鹿屋農業高校が受賞。鹿児島県の農業高校はほぼ負け知らずの強さを見せつけている。