柳川は、町中を堀割が縦横に巡っていることから「水郷」と呼ばれています。今日まで残るこれらの堀割は、江戸時代の柳川藩主・田中吉政が、城の防御や用水路の整備などを目的として改修したものです。
"どんこ舟"と呼ばれる舟で、約4kmの堀割を1時間以上の時間をかけて巡る「川下り」では、舟に揺られながらゆったりとした時を過ごせます。冬にはこたつを乗せた舟が運行し、年間を通して四季の移り変わりを楽しめるように配慮されています。また、2月に行われる"水落ち"と呼ばれる行事では、堀割の水を抜き、水路の清掃、修繕、整備などを行います。
川下りコースの外堀と内堀の分岐点にある赤レンガ造りの建物は、2000(平成12)年に国の登録有形文化財に指定された「並倉」です。明治~大正時代に建てられたこの建物は、味噌の麹室として使用されていました。並倉では現在も味噌造りが行われており、造られた味噌は柳川の味として親しまれています。
町の中には、醤油造り体験ができるお店もあるので、柳川伝統の味をぜひ堪能して下さい。
並倉:福岡県柳川市三橋町江曲216
うなぎのせいろ蒸し発祥の地である柳川では、市内だけで年間150万匹以上のうなぎを消費しています。うなぎへの感謝を表し、うなぎの霊を弔い供養するために、1967(昭和42)年に「うなぎ供養碑」が建てられました。供養碑には、福岡出身の作家・劉寒吉の短歌が刻まれています。
また、土用の丑の日の前にはうなぎ供養祭が行われ、供養碑横の堀割へ約300匹のうなぎが放流されます。
うなぎ供養碑:福岡県柳川市坂本町柳城公園内 水辺の散歩道沿い
有明海苔が有名な有明海は栄養が豊富で、100種以上の生き物が生息しています。そんな有明海に面する柳川では、イソギンチャクやムツゴロウ、ワラスボなど、他の地域ではあまり知られていない魚介類が、昔から食卓に上がっていました。
柳川でしか食べられない料理もあるので、柳川を訪れた際には、お食事処や魚屋さんにも足を運んでみてはいかがでしょうか。
(写真上部はムツゴロウの蒲焼き)
詩人・北原白秋は柳川で生まれ育ちました。そのため、ここ柳川には、白秋の生家や記念館、詩碑など、白秋に思いを馳せることができるスポットが満載なのです。
1901(明治34)年の沖端大火災で、生家の大半は焼失したのですが、難を逃れた母屋を中心に復元し、1968(昭和43)年には県文化財史跡に指定されました。生家を訪れて、白秋が暮らした場所の空気を肌で感じてみて下さい。
また、隣接している「北原白秋記念館」では、白秋の生涯についてだけでなく、柳川の歴史についても知ることができます。
とげが鋭く、泥棒避けなどの目的で生垣に使われていた「カラタチ」は、白秋と縁の深い植物です。白秋が作詞し、山田耕筰が作曲した「からたちの花」は、日本の歌百選にも選ばれるなど、日本人の心に響く童謡として愛され、柳川には詩碑も建てられています。また、北原白秋記念館のドアには、白いカラタチの花がデザインされています。
秋になると、カラタチは黄色い実をつけますが、その実はとても酸っぱく、食用には向かないそうです。
有名な童謡「待ちぼうけ」も、「からたちの花」と同じく、詞は白秋、曲は耕筰が作りました。柳川には、「待ちぼうけ」の詩碑も建てられており、誰でも一度は歌ったことのある童謡と出会うことができます。
この詩碑は、川下りをしなければ正面から見ることができないので、舟上から探してみてはいかがでしょうか。どんこ舟が詩碑に差し掛かると、船頭さんが伸びのある声で「待ちぼうけ」を歌ってくれるはずです。
柳川市内には、北原白秋の他にも、高浜虚子や長谷健、壇一雄など、柳川に縁の深い詩人や作家の文学碑が30基以上も点在しています。これらの文学碑の中には、「待ちぼうけ」の詩碑のように、川下りの途中でしか見られないものもあれば、街歩きをしなければ見られないものもあります。
「日本の道100選」に選ばれた「水辺の散歩道」もあるので、文人たちが生きた時代を想像しながら、水路と陸路のそれぞれから見える景色をお楽しみ下さい。
柳川藩5代藩主であった立花貞俶(さだよし)は、1738年に立花家の別邸を柳川に設けました。当時、"御花畑"と呼ばれていたこの地にちなみ、地元の人々が親しみを込めて"御花"と呼んだことが、「御花」の名前の由来です。
約7000坪もの敷地面積を誇る園内には、結婚式場やレストラン、史料館などがあり、様々な用途に合わせて利用されています。また、毎年雛祭りの時期には、色とりどりの吊り雛が飾られる"さげもん"を一目見ようと、全国各地から観光客が訪れます。
2011(平成23)年には、御花全体が「立花氏庭園」として、国の名勝に指定されました。
御花に設けられた庭園「松濤園」は、日本三景の1つである宮城県・松島を模して造られました。大海を表している池の周囲には、280本もの黒松が植えられており、水と緑が織り成す風景は見る者を圧倒します。
また、池の水は堀割の水が循環するように造られているため、池の中にはさまざまな生き物が生息しています。冬には渡り鳥も飛来し、中でも、数百羽が飛来してくる野鴨は、柳川の冬の風物詩となっています。
1910(明治43)年に立花家の迎賓館として建てられた「西洋館」は、当時を代表する建造物・鹿鳴館を思わせるようなデザインが人気です。建物内には、ソファやシャンデリア、オルガンなど、当時使用されていた設備が展示されており、まるでタイムスリップしたかのような空間を楽しめます。
また、結婚式場としても人気が高い西洋館は、どんこ舟で披露宴会場へと向かう"花嫁舟"と共に、柳川で結婚式を挙げるカップルには欠かせないスポットです。
1826年に造営された「三柱神社」には、柳川藩初代藩主の立花宗茂、宗茂の妻・誾千代、 誾千代の父・戸次道雪の3柱が祀られています。2005(平成17)年の火災により拝殿などが焼失してしまい、復旧が進められています。
毎年10月に行われる"おにぎえ"とよばれる秋季大祭では、"どろつくどん"と呼ばれる山車が町を練り歩き、踊りを奉納します。
三柱神社:福岡県柳川市三橋町高畑323-1
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開催: 2024年03月31日
開催: 2024年04月14日
開催: 2024年03月30日
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