天守閣の1~3階は、キリシタン史料や郷土史料、民俗史料の展示室。戦国時代の領主でキリシタン大名だった有馬晴信がキリスト教を保護して以来、島原には多くの信徒が集まりました。禁教時代の弾圧の中で信仰を守った証拠の品々、歴代藩主ゆかりの調度や刀剣、庶民の生活を物語る道具や人形などが展示され、島原の文化の多様さと奥深さに触れることができます。
高さ35mの天守閣の最上階は、360度の眺望が楽しめる展望場。城下町・島原の街並みをはじめ、江戸時代の普賢岳噴火「島原大変」で山体が大崩壊した眉山、その土砂が海に流れ込んで生まれた島々、日本で一番新しい山・平成新山など、島原の歴史を彩るスポットが一望できます。
城内に3つある三重櫓のうち、丑寅櫓は民具資料館に、巽櫓は「長崎平和祈念像」で知られる郷土の彫刻家・北村西望の資料館になっています。1996年には、雲仙普賢岳の噴火災害を紹介する観光復興記念館がオープンしました。忍者や甲冑の変装体験、名物の島原そうめんや寒ざらしなども楽しめます。
現在、一般に公開されているのは、篠塚邸・山本邸・鳥田邸の3軒。この付近の屋敷はすべて1戸あたり3畝(90坪)で、茅葺き屋根の簡素な住まいです。室内には、当時の生活を再現した人形や調度品が展示されています。庭に植えられたビワや柿、柑橘類などの果樹からは、藩士たちの自給の精神がうかがえます。
武家屋敷の周辺には、映画『まぼろしの邪馬台国』のロケが行われた「榊原郷土史料館」や、勤皇の志士・丸山作楽(さくら)の私塾「神習処跡」、藩主の別邸が置かれ、現在も清らかな湧水をたたえる「常盤御殿跡」など、歴史ある散策スポットが点在。島原城南側の中心街に足をのばせば、鯉が泳ぐ清流や飲用の湧水、無料の足湯も楽しめます。
1675年、「民に時刻を知らせることは政治の要道」という藩主・松平忠房の命により、島原城二の丸の北西に築かれた「時鐘楼」。時間ごとに鳴らされる鐘の音は、遠く対岸の熊本にまで響き、島原の人々には「おかみの鐘」として親しまれていました。太平洋戦争のため供出され、現存する鐘は1980年に復元されたものです。
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