歴史・文化

時代で巡る九州~中世

有田焼

人形劇にテーマパーク…
有田焼を通して町の歴史を学ぶ。

 有田焼は17世紀に佐賀県西松浦郡有田町で生まれ、400年もの歴史を持つ磁器は日本で最古と言われています。白く滑らかで美しい磁肌や華やかな絵付、薄く軽いにも関わらず耐久性が高いことが特徴。伝統文化の交流プラザ「有田館」では有田焼のからくり人形を使った人形劇をおこなっています。約8分間の劇では有田地域に伝わる民話「黒髪山の大蛇退治」を歌舞伎調で演じ、10体の色鮮やかなからくり人形がリズミカルに動きまわる、大人も子どもも楽しめる内容となっています。上演時間は不定で、観客が入り次第開始。

  •  有田館の2階では、1996年におこなわれた『ジャパンエキスポ佐賀'96 世界・炎の博覧会』で出展されていた「有田焼カフェ」が記念ルームという形で残っています。ここでは有田焼やマイセン焼・景徳鎮焼などが展示されています。また、喫茶コーナーでは自分の好きなカップを選んで、コーヒーを飲むことができます。(1杯200円)

  •  「佐賀県立九州陶磁文化館」は、肥前の陶磁器をはじめ、九州各地の陶磁器専門の美術館として、歴史的・美術的・産業的に重要な資料を収集・保存・展示しています。その中にある「有田焼からくりオルゴール時計」は30分ごとに70cmもある巨大な文字盤が開き、四季折々の童謡に合わせて3分間のショーが始まります。

    【佐賀県立九州陶磁文化館】
    佐賀県西松浦郡有田町戸杓乙3100-1
    入館料:無料
    開館時間:9:00~17:00
    休み:月曜日 (※祝日の場合は営業)、12/29~12/31

  •  欧風の建築物が立ち並ぶテーマパーク「有田ポーセリンパーク」はヨーロッパの王侯貴族を魅了した、有田焼の里ならでは。シンボル的存在となっている「ツヴィンガー宮殿」には、明治時代ウィーン万博で展示された182cmもある『染付金高蒔絵御所車図大花瓶』をはじめ、多くの歴史的価値のある有田焼が展示されています。 宮殿裏のバロック庭園には有田焼で出来た噴水も。

    【有田ポーセリンパーク】
    佐賀県西松浦郡有田町戸矢乙340-28
    入園料:無料(ツヴィンガー宮殿、展示館入館料は500円)

【有田館】
住所:佐賀県西松浦郡有田町幸平1-1-1
TEL:0955-41-1300
営業時間:9:30~17:00
休み:年末年始
入館料:無料
人形劇観覧料:大人200円 子供150円
URL:http://www.town.arita.lg.jp/ (観光情報内 観光スポット)

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有田の街並み

異国情緒が残る町並みを眺めつつ、
のんびりと路地裏散策。

 有田の町には歴史ある建物が数多く残っています。そんな有田を満喫するのに適しているのが路地裏散策。のんびりと時間をかけて歩くことで、町の歴史をより身近に感じることができます。
 江戸期以来の古い商家が並ぶ内山地区の本通りから1本北側の通りに入ったところや、有田館から程近くの裏路地に「トンバイ塀」があります。このあたりは昔、窯焼をおこなう人々の集落だったそうで、製造技術の秘密を守るために今よりもさらに高く積まれていたそうです。

  •  トンバイの語源は中国という説と韓国という説がありますが、登り窯を築くときに使った耐火レンガのことだそう。解体した登り窯のレンガや"トチン"、"ハマ"という窯道具などを赤土で固めて作った塀をトンバイ塀といいます。現代でいうリサイクルから生まれた塀ですが、薪の松油や釉薬が飛び散っていることで2つとない個性的な色や形を生み出しています。

  •  毎年春に行われる有田陶器市の会場となる通り沿いには歴史を感じるモダンな建物も多数残っています。その中の一つ、有田を代表する陶磁器メーカー「香蘭社」の建物は西洋風の雰囲気漂うオシャレな外観。明治時代に建てられた木造社屋の1階は陶磁器等の展示場となっています。

    【香蘭社】
    佐賀県西松浦郡有田町幸平1-3-8

  •  "有田焼陶祖の神"と言われる「陶山神社」。明治21年に奉納された淡いブルーの唐草模様が美しい磁器製の鳥居や、高さ82cmの陶磁器製の狛犬など、境内のあらゆるものが陶磁器で作られています。一般的な神社より大小多くの狛犬がいたりと、見た目にもユニークな神社です。

    【陶山神社】
    佐賀県西松浦郡有田町大樽2-5-1

【有田の街並み】
住所:佐賀県西松浦郡有田町上幸平
有田内山重要伝統的建造物郡保存地区内
TEL:0955-46-2500(有田町 企画商工観光課)/TEL:0955-43-2121(有田観光情報センター)
URL:http://www.arita.jp/

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柿右衛門窯

ヨーロッパ貴族を魅了した
『柿右衛門窯』伝統の"濁手"

 有田焼の作品は製造時期や様式により、『初期伊万里』、『古九谷様式』、『柿右衛門様式』、『金襴手』などに分けられます。その中の一つ「柿右衛門様式」は、赤を基調に緑や黄色など、繊細なタッチで描かれた上絵付けの美しさと、それを引き立たせる"濁手(にごしで)"と呼ばれる温かみのある乳白色の磁肌が特徴です。資料館では江戸時代に作られた初期の作品から現当主である十四代の作品や、柿右衛門様式を模して作られた、マイセンの作品などを見ることができます。通常、工房内の一般公開はしていませんが、年に数回本焼窯の焼成作業を見学できる日もあります。

  •  一度に500個もの作品を本焼きすることもあるという窯。上は成形後に焼く素焼き用(約900度)、下は下絵付けと釉薬をかけた後に焼く本焼き用(約1300度)と、2つの窯が効率的に繋がっている珍しい窯です。本焼き窯は火入れから焼成を終えるまで、約40時間も薪をくべ続けるのだそう。

  •  濁手を作る際に欠かせないのが有田町にある泉山の陶石です。この陶石は一般的な有田焼(有田磁器)を作る際に使用されることの多い熊本県天草の陶石よりもロクロでの扱いが難しく、濁手ではない磁器でも一度の窯焼きで取れる良品は6割から7割と言われる中、濁手の良品は2割できれば良い方だと言われています。

  •  工房はロクロを回す細工場と絵付けをおこなう絵書座に分かれています。細工場はホコリが立ちにくいということで昔ながらの土間の部屋。繊細かつ鮮やかな、作品の要となる絵付けの作業は絵の輪郭を描く"線描き"と色をつける"濃み(だみ)"があり、線描きは男性、濃みは女性、となぜか分かれているそうです。

【柿右衛門窯】
住所:佐賀県西松浦郡有田町南山丁352
TEL:0955-43-2267
営業時間:9:00~17:00(展示室のみ)
休み:年末年始
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