城下町佐賀に春の訪れを告げる「佐賀城下ひなまつり」。会場となるのは、レトロな雰囲気の長崎街道や佐賀城のお堀端周辺。遠い昔の日々がセピア色によみがえってくる。お雛様の微笑みが聞こえてきそうな街並みだ。
佐賀藩36万石の城下町として栄えた佐賀市。この地のひなまつりは雛人形の質の高さと優雅さにあふれている。
徴古館では長さ6mと5mという大迫力の二つの大雛壇飾りが皆さまをお迎えする。そこに並ぶのは佐賀藩主の侯爵鍋島家で実際に飾られていた雛人形・雛道具の数々約500点。明治から昭和初期にかけての歴代ご夫人が愛しんだ雛飾りは、大名家・侯爵家にふさわしい豪華さと品格を兼ね備えている。このほか、侯爵黒田家(旧福岡藩主)から鍋島家に嫁いだ禎子夫人の珍しい極小の銀製雛道具176点も必見。佐賀市歴史民俗館の各会場では佐賀藩の公服である裃の紋様に使われた「お留型(おとめがた)」と呼ばれる鍋島小紋を衣装に用いたお雛様や伝統工芸である佐賀錦を身にまとった大変優雅なおひなさま、佐賀で340年の歴史を誇る和製絨毯「鍋島緞通」も。
会場となる徴古館は佐賀城の北堀端に位置し、佐嘉神社や松原神社と並び、鍋島家の歴史を伝える。また、長崎街道沿いの旧町人地のにぎわいを今に伝える。佐賀市歴史民俗館は、「旧古賀銀行」「旧古賀家」「旧牛島家」「旧三省銀行」「旧福田家」「旧森永家」「旧久富家」の7館を総称したもので、江戸期から大正期にかけての歴史ある佇まいは、お雛様のイメージと見事に調和している。
これらの建物は長崎街道沿いの中心にあり、その街並みもまた趣き深いものだ。
その他ひなまつり期間中には、「シュガーロードのひなまつり」などのイベントが開催される。